2015-08-21

振り返ると

90日という日々は振り返ってみれば、あっという間でした。
たった6カ国で90日とは、かなりのんびりと歩いた旅だったと思います。
財布落としたり、ひったくりに遭ったりもしましたか。
いまはハノイ旧市街の外れにあるカフェで、時間つぶしにノンビリしながらこれを書いています。
あとは出国するだけなので、街を眺めながら一日を静かに過ごしたい。

今回で、こういった形での放浪旅行は終わりにしようと思ってます。
家族旅行でハワイに行きたいとかって子供が言い出したら・・・
そうですね、そういうときは旅行するとは思います。
で、現地についてそこはハワイじゃない(笑)
お父さん、ここどこ?
ハノイだよ。

でも、それはふつうの旅行になると思います。
バックパック旅行だって、来てみればけっこう普通なんですけどね。
引退というほどに海外を渡り歩いたわけではありませんが、これでお終いという理由は、やはり新しい刺激を受けてそれを明日に生かすというような年齢よりも、すでに自分の中にあるものを丁寧に使って明日に生きるという歳頃だと自分で感じることでしょうかね。
もう刺激も経験も十分異常に、もとい十分以上に受けてきましたから。
いまのままじゃ人生の変態経験コレクターで終わってしまう(笑)

実際に昔ほどの刺激を旅から受けなくなったということはあります。
経験を積んだためもありましょうし、年齢的に感受性が鈍ったのかもしれません。
東南アジアの主要国は、なんだかんだ言っても観光客慣れしていて、バックパックの自由旅行という「パッケージ」が流通してますから、その気軽さも破天荒な刺激の減少理由としてあるでしょう。

それが判っていて旅行に出たのはなぜか。
ひとつは26年間の東京生活を明確に区切って過去へと押しやること。
もうひとつは、そこに住んでいる人たち、スマホも使えばバイクも車も持っていて、子供をたくさん抱えて生活してる人たちを見たかったという、素朴かつ失礼な旅人通有の興味。
そして最後が、自分の価値の確認でしょうか。


最後のひとつ、わかりにくいですね(笑)
20代の頃から、日本の法律があまり通用しない世界での「刺激も経験も十分異常に」積んできたものですから、私はあまり自分の価値とか権利とかを尊重できない傾向があります。
どんだけ人権がどう、権利がどうと叫んだところで北朝鮮に拉致されたらら、ISに捕まってオレンジ色の服で正座させられたら・・・それでお終いです。
世界共通のものは案外に少なくて、通用しないところでは通用しないものはとことん通用しない。
ただ、日本の法律が通用しない場所が外国だったら良かったんですが、私の場合は場所が日本国内の株式会社だったんで、問題はさらにややこしくなります(笑)
外国なら諦めもつきますが、法が通じるべき国内で通じないのは話が違う。
圧縮して端的に言えば、3年8ヶ月在籍した会社でお金を貰ったのは4ヶ月分くらいという話なんですが、お金を貰わずに昼間は会社で仕事して、夜はバイトで生活費を稼ぐような生活は、かなり屈折した自己存在の是認要件を生み出します。
もう、ほとんど妄想と想像の世界で、革新的ともいえる自己肯定の発明の嵐(笑)
そんなわけで、他人が自分の権利と正義を声高に主張していても、自分自身についてはどうでもいいやと思っちゃうような人間になってしまった、と。
どれだけ自分が正しいと法律を盾に叫んだところで、出す気のない奴になにかそれを認めさせることも、出させることも難しい。
むしろ自分の価値と権利は、法律が定めてくれるからそこにあるんじゃなくて、自分で常に確かめているものだからそこにある。
他人や法律が認めるか認めないかは、関係ないとまでは言わないけれど、あまり過剰に期待して受け取ってはいけないし、ましてや自分を守る唯一至高の盾にしてはならない。

30代の頃、さる人材派遣会社のシステム部で働いていた頃。
そこの部長が私を評した言葉。
「まったく社会や人生に期待をしない男」
「他人をまったくあてにしない男」
なにか仕事上でトラブルがあっても、他人の責任がどうの自分の権利がどうのという人の話を聞き流しながら、どうせ社会はこんなもんなんだから騒ぐほどのこともない、トラブルですらない、言うだけの時間があったら手を動かせば良いだけのこと。
他人の権利や正義と俺自身は、直接的には関係ない。
そんな感じだったらしいです。
「仕事を自分で作ってくるから手が掛からないけれど、仕事を与えるときは難しい」←ほーら、こんなに面白い仕事だよ、と上司自身が面白がってみせないと興味を示さない=そんなに面白いなら俺にやらせてくれ
「自分の興味と面白がりで仕事しているので、利益誘導も脅迫も効かない」
「サラリーマンとしては危険思想の持ち主」
思い返せばひどい言われようだな(笑)
ただ、部長自身は組織の中での私のイレギュラー性(異常性ではなくて、イレギュラー性です)を重く見て、私はずいぶんとお世話になりました。

ちょっと話が逸れちゃいましたね。
旅行にでるということは、私にとっては仕事しなくてもいい、なにをしてもいい、自由だという世界ではなく、常に全ての行動を自分で決めなくてはいけない日常であり、なんでも自分で確かめなければいけない世界です。
むしろ日本の日常よりも縛りが多くて大変。
で、たいていの場合、私は相手の国の人にとって、大きなお金を持ってきてくれる外国人観光客。
多くの親切をこの90日間受け続けてきたことは認めますが、最初の入り口のほとんどはお金です。
そこでしか、どれだけ払うかでしか、まず私の権利はなく、彼らにとっての私の価値はそこにある。
だからって、それだけを受け入れていくのは人情として寂しい。
やはり、そうじゃない自分の価値とか権利とかを考えてしまいます。
そういうことが、まだ若い頃みたいにできる、自分が何かをするたびに自分がそれに行うに相応しい人間かどうか、何かをして貰うたびに自分がそれを受けるに十分な人間かどうか、自分で納得することができる。
それが私の独り旅をする三つ目の、そして旅行をやめる理由です。
もう確認だけをしている歳じゃないからさ。

一時間ほど前から、カフェに8人ぐらいの日本人が入ってきました。
大学生の男女です。
サークルかなんかの先輩後輩関係ですね。
まったく・・・街歩きもしないで、こんなカフェで時間をつぶしやがって(笑)
そもそも群れすぎ・・・
などと思いつつも、彼らが微笑ましくもあり眩しくもあり。
はやく独りで歩けるようになれよ。
そうしたら、グループでならもっと楽しくなれるから。
たぶんね。

昼の12時になったので、いったん宿に帰って荷造りします。
荷物、ちょー少ないけど。
ではでは。

日本帰国まで、あと1日!!

0 件のコメント:

コメントを投稿