2015-08-12

袖触れ合うも多生の縁

息災に旅を続けています。
体の方は風邪も引かず、お腹を壊したのも一回だけ。
それもベトナム初日のチャウ・ドックで、半生気みだったレバー入りの麺を食べたときだけ。
それも後を引きませんでした。
疲労で軽い頭痛というのはありましたが。
旅行中、体力よりもわりと気持ちの浮き沈みが気になります。
移動が続いてしんどくなってくると街の色彩が失われて、澱んだ街に見えてしまって楽しめない。
そんな気分になる時期があります。

メコン下流域からホーチミンへ出てきたときも、そんな感じでした。
宿にしたのは、デタム通りの Suite Backpackers Inn 。
たまたま出会った面白い日本人のお二人にお世話になりました。
ひとりは30代後半のナベさん、もうひとりは30代前半のIさんです。
ナベさんはフィリピンに三ケ月滞在した後、私と同じようにマレー半島を北上してカンボジア経由でホーチミンへ、Iさんはバンコクからチェンマイを経てラオス北端部へ入り、ボートでメコンを下ってルアンパバーンへ、それからラオスを縦断の後に陸路ベトナム中部入りして南下してきた人でした。
共通していたのは、三人とも盗難トラブルに遭って間もなかったこと(笑)
日程的に三人でというのはありませんでしたが、それぞれとは食事に出たり街歩きしたりしました。
ずいぶんといろいろ話もした記憶があります。
案外に日本人同士が同宿することって、それまで少なかったですから。
ヤンゴンでカップルの方と、マンダレーでこれからインドへ向かうという30代の男性と、プノンペンで同世代の男性と、それぞれ会って情報交換に会話したくらい。
ホーチミン後はホイアンで少し年上の男性と入れ替わりに顔を合わせましたが、この人には挨拶したら無視された(笑)

ナベさんは東南アジアで仕事を始めようと、それをどこの国にすべきかと旅してます。
Iさんは、日々アルバイトと舞台稽古に励む、名の知れた劇団の役者さんです。
私はというと役者やミュージシャンのような表現行為の一芸もなく、起業という意気も持ち合わせません。
そもそも実家に戻ってフツーに暮らすというのが、今回の旅行の前提なわけです。
それでもどうやら世間様からズレちゃった、という自覚はないまでも、周囲の人たちからの観測によれば、自分はズレちゃったらしいよ、という意識があって、そういう部分がホーチミンで出会ったふたりに反応したのでしょう。
こうした人たちと話していると、世の中がおかしいとか、世間が間違っているとか、そういう方向の話しにならずに、自分がこうしたいと思っている、こうなりたいと思っているという向きを常に保っていることが愉しいです。
それがその人の日常とはかけ離れた旅の空での、初対面の人との会話であることを割り引いたとしても、ズレをストレートに武器にして前を向く、ズレた位置から他人や社会を貶めない、それはそれで立派な姿勢だと思っています。

メコンデルタで疲れて、澱んだ気分でいたときにホーチミンで私をフル充電してくれたお二人の話でした。

なんだか早朝から話自体がズレちゃった。
手持ちのベトナムドンが無くなって、銀行が開くまで暇つぶしに書いていたのですが、これから銀行と駅によってからフエの旧市街へ行ってきます。
日本はお盆休みですが、こちらはフル稼働中です。
ではでは。

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