人の噂も45日。 梅雨に閉ざされた鬱陶しい日常を過ごす友人・知己から、私もその名を忘れられたのではなかろうか。 俺は忘れたぞ・・・ 喜多見駅前の王将定食の値段も、国領駅前の熊王の醤油ラーメン(入り・麺かた)の味も、新宿発相模大野行きの終電時間も、里さんの命日もDさんの余命(後者は冗談として・笑)も、宝飾展の集合時間も、近所のゲオのどこの棚にどのDVDが置いてあるのかも、かつて好いた女の名前も、それから・・・それから・・・ 日本を離れて45日。 ようやく旅も折り返し地点となりました。 残り45日でカンボジアを横断してベトナムのメコンデルタへ抜け、そこからハノイまで北上します。 これだけ歩き回って、まだ半分も残っているのか。 さすがに仕事の依頼メールも来ず、スマホは止まったままなので電話もかかってきません。 そろそろ現実的に、次の身の振り方を考え始めねばなりませんかねぇ。 といっても故郷になんの伝手があるじゃなし、いまは「俺なら大丈夫」と自分自身に魔法を掛けることしかできない。
ラミパス・ラミパス・ルルルルルー‼ 子供の頃から引っ越しが多く、幼稚園がふたつ、小学校が4つ、中学をみっつ変わりました。 友人から「お父さんがサーカス団員だってホント?」と訊かれたこともあります。 誰になにを吹き込まれたんでしょう? そんな面白い設定の少年時代があるなら、選んでみたい。 高校と大学の10年間は転校こそないものの、社会に出てからの転職は8回くらいになります。 ただ、スーツ仕事での明確な転職ではなく、フリーター仕事での慢性的な仕事換えも含めると、どう数えていいのか判らない。 東京での26年で引っ越しは11カ所にのぼります。 他に神楽坂の倒産会社時代をはじめとして、あらゆるところで友人・同僚の引っ越しを手伝って、それが15件くらい。 最後の2年間は、便利屋で引っ越しや遺品整理の仕事もしてきましたので、テクニックについては筋金いりとまでは行かずとも、折り紙付きです。 そんなわけで、あまり尻の下を暖めることに拘れません。 かといって故郷らしい故郷を持たないデラシネにも二通りあって、故郷がないからこそ今居る場所に過剰な思い入れを持って馴染もうとするパターン(ラモス瑠衣みたいな?)と、私のようにどこの人でもないという開き直りで生きていくパターンです。 べつにフリーターが自由でよいとか、人生は自由であるべきだとか、サラリーマンは現代の奴隷だとか、非正規雇用のフリーターは奴隷の下僕とかって思っているわけではありません。 個人的には自由はお金があってはじめて得られるものか、あるいはお金があってはじめて自由に価値がでるものと思っていますし、社会を支える確かな柱をサラリーマンが担ってくれてこそ、その柱が堅牢であればあるほど隙間が大きくなって、小回りの利く我々の存在価値がでると思っています。 だから時にサラリーマン(非正規雇用が多いけど)、ときにフリーター。 最終的には、どの世界でも通用する自分を確認することが目的みたいになっちゃっている部分も・・・ そのかわり、どっちに行っても「サラリーマンらしくない」、「フリーターらしくない」と言われてしまうのですが。 TV局の資料整理、ゲームのソフトハウス、イベント装飾、店舗装飾、一般企業のIT部門、ハウスクリーニング、建築作業員、植木屋、エロゲーのスクリプター兼シナリオライター、便利屋 etc・・・ 2年8ヶ月在籍して未払いが20ヶ月超の仕事から、時給2600円の契約社員まで様々。 次はそんな仕事のやり方は無理でしょう。 でも、自分のいる場所を居心地良くできるんじゃないかと。 自信過剰でしょうか。 かつてゼミの教授にも「自惚れ屋」と評されましたから、いまは誉め言葉として思い出すことに。 あと思い出すべきことは・・・ 宇都宮のいろんな店の餃子の味、どこの醤油ラーメン(入り・麺かた)が旨いか、運転代行の料金や、テツカの命日、近所のTSUTAYAのどこの棚にどのDVDが置いてあるのかも、かつて好いた女の名前は割愛、それから・・・それから・・・ それで日本帰国まで、あと45日!!
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