2015-08-21

お仕事(便利屋)

最近までやっていた仕事。
便利屋もけっこう面白いお仕事でした。
たまたま隣の家が便利屋兼古道具屋で、挨拶に行ったら仕事手伝ってみるかい、ということになったのが発端。
普段は大将のOさんが一人でやっていて、大きな仕事が入ると手伝いに行きました。
だいたいは亡くなった家族の遺品整理や、ゴミ屋敷の撤去、建物取り壊し前の家財処分なんかです。
中身をきれいに出さないと、解体屋は家を壊してくれませんから。
いろんな家のいろんな秘密にも触れてしまう、亡くなった人の秘密にも意図せずして触れちゃう仕事なんで、あまり書くことはありません。
ただ、ものすごい物量のモノの集積から浮かび上がってくる、そこに暮らした人たちの人格や趣味といった、いわば人となりに浸るような仕事には興味深いものがありました。
先週まで孤独死の腐乱死体があった真夏のアパートで、Oさんと二人で一切合切を整理したこともあります。
死体の整理はアレですけど、私は死体がなければ問題ありません。
人格を疑われるかもしれないけれど、そういう仕事もけっこう好きなんです。
やろうと思っても、そのへんで募集なんかしてない仕事ですからね。
Oさんは私よりも6歳年上の厳つい男で、かなり荒い土地柄の育ちですが、とてもよく気の回る、しかも頭の回転の速い人でした。
ひとりで仕事をしているので、いつも効率よく動くことを考えています。
仕事中にトイレへ行くのでさえ、手ぶらで歩くと叱られました。
「ゴミの一袋でも持って行け」
意図のない動きや無駄なステップも仕事中は厳禁でしたし、依頼人のみならず周辺の家への気遣いも尋常じゃありません。
この10年で、私がいちばんダメ出しを受けた人ですね。
「Kioちゃんは臨機応変な柔軟性に欠ける」「正攻法に真面目すぎる」と。
俺がそれを言われるとは・・・
それでも一人で重量物を運ぶ身体の使い方とか、トラックへの積み込みのノウハウとか、いろんなことを学んだ作業は楽しかったです。
死体の臭いがプンプンしようと、仕事が楽しければ関係ない(笑)
この年齢で勉強できるチャンスはあまり無いですから。
昨年末の忘年会では、「Kioちゃんは80点だな」と言われました。
あんだけ働いて80点かよと不平を鳴らしたら、「バッカ野郎!!俺から80点もぎ取ったんだから有り難てぇと思え!!」と逆ギレされました。
Oさん自身、自分に100点をつけられる現場はいまだ無いんだと思います。
100点まであと20点・・・それは職業としての便利屋が、仕事をとってきて、それぞれの品物やゴミをあるべき場所に捌き、生業として何年にも渡って安定して続けていく中で上がっていくポイントです。
私の80点は、いわば一種のアルバイトの便利屋卒業証書でもありました。
もうちょっと勉強したかったというのが本音ですが、まぁ面白い仕事はどこにでもあるんじゃないでしょうか。

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